研究概要 |
CK2(カゼインキナーゼ2)は種を超えて広範な分布がみられており、個体の生存と増殖に必須となる酵素の一つである。申講者は、すでに細胞周期特異的なCK2機能の一環として、家族性大腸線腫症(FAP)の原因遺伝子APC遺伝子産物との相互作用や、CK2下流の直接のターゲットとして翻訳開始因子elF5(enkaryotic translation initiation factor5)を同定した。本研究では、厳密な細胞周期進行という観点から、特定の時間軸においてCK2によりリン酸化されるクロマチン制御タンパクを同定すると共に、リン酸化による機能の変化を明らかにすることを目的とした。本年度は以下の3点を計画した。 1)CK2 complexに存在するクロマチン制御タンパクが、in vivoでリン酸化タンパクとして存在するか否か解析を行う。 2)リン酸化タンパクである場含は、リン酸化部位をMass解析により決定するとともに、CK2を含む上流のキナーゼを同定する。 3)リン酸化部位変異体を作製し、ヒストン交換反応、ヌクレオソーム形成、遺伝子発現などのクロマチン制御機能に関して、正常型と比較する解析を行う。 これまで成果としては、細胞周期進行伴い、CK2が細胞質から核内へ局在変動させる事を見出し、その際にはCK2がキナーゼ活性を保持する事が必須である事を明らかにした。さらに二次元電気泳動法や抗体アレイによる検討結果から、細胞周期進行初期の段階で核内CK2が、NAP-1,NAP-2などのクロマチン制御タンバク質や、hnRNPなど遺伝子質や、hnRNPなど遺伝子発現制御タンパクとcomplexを形成する事を見出した。これらのタンパクが直接のCK2ターゲットとしてリン酸化を受けるかどうかについては、現在解析を進めている。併せて、それが増殖応答に必須であるか否か機能制御の仕組みを検討中である。 これらの結果から、それが増殖応答に必須であるか否か機能制御の仕組みを検討中である。 これらの結果から、ヒストン交換反応、ヌクレオソーム形成や遺伝子発現など、ダイナミックなクロマチンの構造変化にCK2が重要な役割を果可能性が高いと考えられる。今後は、生命機能の根幹を成すタクロマチン機能制御へ、CK2が関与する詳細についての知見を得ることが来ると期待される。
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