CK2(カゼインキナーゼ2)は種を超えて広範な分布がみられ、遺伝学的解析からも個体の生存と増殖に必須な酵素である。増殖プロセスに関連する細胞周期におけるCK2機能の解析から、申請者はすでに家族性大腸腺腫症(FAP)原因遺伝子APCとCK2の相互作用や、CK2下流にある直接のターゲットとしてeIF5(翻訳開始因子の一つ、eukaryotic translation initiation factor 5)を同定し、増殖機能にCK2が重要な役割を果たすことを明らかにした。本研究では3年間の研究期間において、細胞周期進行の時間軸に照らしたCK2機能の詳細な解析を行った結果、CK2のリン酸化が核への移行に関与すること、核内においてCK2と相互作用し、ヒストン交換反応、ヌクレオソーム形成などのクロマチン制御機能に関するタンパク群を見出した。
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