研究概要 |
NPAS2のヘムセンサードメインのアミノ酸点変異体の動物細胞発現系を作成し、ルシフェラーゼレポーターを用いて時計遺伝子Per1、Per2のNPAS2依存型転写活性に対するCOの効果を調べた。その結果、各種変異体の中で、ヘムの内部リガンドであるHis171に隣接するCys170のAla変異体のみがCOによる転写活性の阻害を受けなかった。そこでさらにCys171Met,Cys171Ser変異体を作成し解析したところ、Cys171Metは野生型と同様COによる阻害を受けたが、Cys171Ser変異体はCO感受性がなくなった。それぞれの変異体のDNA結合ドメインとヘムセンサードメイン(NPAS2 bHLH-PASA)を大腸菌で発現精製し、ゲルシフトアッセイを行ったところ、C170AはCOの添加によるBMAL1とのヘテロダイマー形成、DNA結合活性が阻害されなかった。以上のことから、Cys170はNPAS2においてCOのヘムへの配位シグナルを機能へ伝達する重要な残基であるということが示唆された。さらに、NOのNPAS2転写活性に対する効果を調べたところ、COと同様Per1,Per2の発現に対して阻害的に働いた。現在in vitro系でDNA結合活性に対するNOの効果を見るために実験条件を検討中である。また野生型bHLH-PASAの大量発現精製(15mg/L培養)が可能になったので京大・薬学研究科との共同研究で結晶化を試みている。今後さらにこれらの変異体のヘムセンサードメインの構造と機能の解析を進める予定である。
|