今年度はオーファン受容体Rigp2およびRigp3について以下のような研究を行った。 (1)CHO-K1細胞を用いたリガンドのスクリーニング。 Rigp2およびRigp3を永久発現するcHO-K1細胞を用いて、まず様々な糖やアミノ酸による細胞内cAMPの増加を調べたところ、全くcAMPの増加はみられなかった。続いて、細胞内カルシウムの増加をカルシウムイメージングによって調べたが、同様に全く増加は見られなかった。さらに、ウシ血清が細胞内カルシウムの増加を促進するかどうかを調べたが、バックグラウンドの蛍光が強く正しく解析ができなかった。今後、解析法の改良が必要だと思われる。 (2)Rigp2/3のノックアウトマウス。 2系統のマウスについてC57BL/6にバッククロスを十分に行い、ホモ接合体を得た。Rigp2については、バッククロスを行う前にはホモ接合体が野生型に比べてかなり小さかったが、バッククロス後は差があまり顕著ではなくなってきた。このことについてはノックアウトマウスの供与先と綿密に連絡を取り合って真相を究明していきたい。 Rigp2のヘテロ接合体どうしを掛け合わせると、明らかにRigp2-/-の子供の数がメンデルの法則から予測される野生型やヘテロ接合体の子供の数よりも少なかった。このことは、Rigp2が生存に何らかの影響を与えていることを示唆する。 Rigp3についてはメンデルの法則に従って子孫が得られた。このマウスについて血中インスリンの濃度を測定したところ、野生型よりも有意に低かった。Rigp3は膵臓に多く発現しているため、インスリン分泌に何らかの役割をしているのかもしれない。
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