研究概要 |
哺乳動物は、多種の高度に分化した細胞により構築されている。これらの細胞は形態・機能がそれぞれ特殊に分化し、その細胞に託された機能を協調して遂行することによって、高等生物が示す高次の個体機能を実現している。エンドソーム・リソソーム系のオルガネラは、これらの分化形質の発現に直接的に関与する。ゴルジ装置,エンドソーム,リソソームあるいは液胞などのエンドソーム・リソソーム系オルガネラは、段階的により低い内腔のpHを形成・維持する。しかしながら、この『酸性オルガネラのpH感知・制御メカニズム』に関しては、未だ不明である。研究代表者がハーバード大学医学部との共同研究で、V-ATPaseのサブユニットが低分子GTPase Arf6のグアニンヌクレオチド交換因子(ARNO)とpH依存的に結合を示すことを見いだした。今年度は、色素細胞や内分泌系組織におけるV-ATPaseの局在と機能を解析し、V-ATPaseが貯留小胞やエンドソームなどを含むオルガネラの内部の酸性pH-senserとして機能することを強く示唆する結果を得た。さらに、V-ATPaseサブユニット・イソフォームa3とpH感受性型緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパクのノックイン・マウスを用い、オルガネラ膜輸送および酸性pHをGFPのみならず、個体レベルで酸性コンパートメントを可視化し、プロトンの動態を追跡する系を構築した。
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