研究概要 |
1Vα19NKT細胞のサイトカイン分泌能の特徴 Vα19NKT細胞の機能的特徴を明確にするため、刺激の種類に応答したサイトカイン分泌の変化を分析した。均一Vα19TCR Tgマウス(TCRα^<-/->の遺伝的背景)の肝臓単核球細胞(TCR発現細胞としてTg発現細胞のみが発生する)を培養下異なる濃度の固相化抗CD3抗体で刺激をしたときのサイトカイン分泌はTCRへの刺激の強度(固相化抗CD3抗体の濃度)および刺激の時間(培養時間)に強く依存した。比較的微弱な刺激を受けることによりVα19NKT細胞はIL-4,IL-5,IL-10等のTh2推進性のサイトカインの分泌が相対的にIFN-γやIL-17の分泌に優先しこれが持続することが明らかになった。この性質はVα19NKT細胞の持つ臓器特異的自己免疫の抑制の基礎をなす可能性かおる。一方固相化抗NK1.1抗体によりNK受容体のひとつNK1.1に対して刺激を与えたときのVα19NKT細胞のサイトカインの分泌はTCRへの刺激時と比較して約1/30〜1/100と小さく、これはVα14NKT細胞の場合の約1/15〜1/30に比べても小さかった。 2α-Man化糖脂質によるVα19NKT細胞の特異的活性化 本年度新たに入手した種々の微生物由来及び化学合成された物質のVα19NKT細胞に対する刺激能を検討した。その結果この細胞を活性化する物質として3-(6-myristylα-Man)cholesterol(同様の構造のglucosideはHelicobacter pyloriに存在する)および放線菌の1種Saccharopolyspola由来のグリセロ糖脂質3-(α-Man1-3-α-Man)1-monoacylglycerol、ここで還元末端α-Man基6位はacyl化されている)を見出した。これらはいずれもα-Man基をもつ糖脂質で、以前見出した活性物質と同様の基本構造を有していた。
|