研究課題/領域番号 |
20570149
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
今野 卓 福井大学, 医学部, 准教授 (50225637)
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研究分担者 |
玉井 良則 福井大学, 工学研究科, 准教授 (50324140)
森井 孝 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (90222348)
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キーワード | 蛋白質 / アルツハイマー病 / アミロイド / タウ蛋白 / リン酸化 |
研究概要 |
本年度は、タウ蛋白由来の部分ペプチドを合成し以下の研究を行った。 (1) まず、1つの部分ペプチドを選び、そのリン酸化が、凝集体の安定性、凝集速度、凝集構造などにどのように影響するかを、臨界濃度測定、蛍光法による凝集過程解析、電子顕微鏡法によって検討した。次に、その変化の分子メカニズムがペプチド上の電荷配置に依存することを証明する為に、リン酸化以外の変異体ペプチドを作成し同様の実験を行った。その結果、リン酸化の凝集への効果は、ペプチド分子内及び凝集状態で隣接する分子間の電荷間相互作用によって、少なくとも大半は説明可能であることが明らかとなった。その成果は、論文として公表した。 (2) 次に、上のリン酸化の効果が、ペプチド上の位置によってどのように影響されるかを検討するため、別の部分ペプチド配列について(1)と同様の解析を進めた。その際に、凝集体の安定性評価を改善するために、新しい臨界濃度の測定手法を検討し、また、凝集体上でのリン酸化部位を同定するために電子顕微鏡観察の手法を拡張する試みを検討した。 (3) 我々の用いたペプチド種の形成する凝集体の原子レベルでの構造を解明する目的でX線結晶構造解析を計画した。その第一段階として、ある典型的なペプチド種について微結晶作成を進め、部分的に成功した。他方、非結晶状態の凝集産物を対象に、βシート構造に対応するX線回折像を得た。 (4) 過去に報告されたアミロイドの原子レベルでの構造を骨格として、計算機シミュレーションの手法を用いて、上記(2)の場合に用いたペプチド種の場合に予想される凝集構造を理論的に構築した。
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