研究課題
酵母細胞スフェロプラストのパッチクランプ実験では、細胞が良い状態であることが非常に重要であり、合成培地(SD)よりも完全培地(YPD)の方が良いことがわかった。そこで、当初の計画を変更し、CCH1 ORFとMID1 ORFの上流に強力なTDH3プロモーターを繋ぎ、染色体のCCH1 locusとMID1 locusに組み込んだ株を作製し、研究分担者の飯田秀利の大学院生が、2009年4月より7月までの4ヶ月間、米国ウィスコンシン大学のChing Kubg教授の元でパッチクランプ実験を行った。チャネル電流の検出が既に報告されている、Tok1チャネルと機械刺激受容チャネル(Gustin channel)の検出を行い成功したが、Cch1/Mid1チャネル活性は検出できなかった。パッチクランプ実験と平行して、研究代表者の飯田和子が、ザイモリエース処理により調製したスフェロプラストのCch1とMid1をウエスタンブロッティングで検出したところ、Cch1のバンドは変化がなかったが、Mid1は未処理酵母で検出される95K付近のバンドが減少し、60K付近に新たなバンドが検出された。Mid1(548アミノ酸残基)には、16カ所のN型糖鎖修飾のコンセンサス配列があり、糖鎖修飾を受けて95K付近に泳動される。この糖鎖修飾はMid1の活性に必要である。パッチクランプ法でCch1/Mid1チャネルの電流が検出できなかったのは、ザイモリエース中の不純物によってMid1の糖鎖が切断されて失活したためであると考え、ザイモリエース処理時に糖鎖切断酵素に対する各種の阻害剤を加えて、Cch1/Mid1チャネル活性を保持したスフェロプラストを調製することを試みている。平成20年度に行った、ラットの電位作動性カルシウムチャネルのS2-S3リンカー部位のGly残基の重要性に関する後述の論文が受理された。
すべて 2009
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Biochem.Biophys.Acta 1798
ページ: 966-974