研究課題
Mcm10は複製因子の一つであり、Orc、Mcm2-7複合体、Cdc7/Dbf4、DNAポリメラーゼα、PCNA、RECQL4、And-1(Ctf4)など数多くの複製関連因子と相互作用することが報告されている。しかしながら、複製反応におけるMcm10の本質的な役割やその制御機構については不明な点が多い。これまでに、ヒトMcm10の様々な欠失変異体を安定に発現する細胞株を作成し、S期におけるクロマチンへの安定な結合とfoci形成には、C末端側の領域(483-693)が必要であること、この領域を介してMcm2-7と結合すること、また、siRNAによるMcm10のノックダウンに伴いS期が遅延するが、この時に複製フォークの伸長速度には変化は無かったが、複製開始点の間隔が広くなっていたことから、複製開始頻度が低下していることを明らかにした。今年度は、Mcm10の様々な欠失変異体を安定に発現する細胞株に、siRNAを導入して内在性Mcm10のみをノックダウンし、欠失変異体が内在性Mcm10のノックダウンに伴うS期の遅延を相補するか検討した。Mcm2-7相互作用ドメインを欠く変異体は、内在性Mcm10と同程度の発現量では相補できなかったが、数十倍過剰発現させることにより、内在性Mcm10の機能を相補できた。また、種を超えて保存されている領域(200-487)のみでも、内在性Mcm10の十倍程度過剰発現させることにより、機能を相補できた。一方、種を超えて保存されている領域を欠く変異体は、数十倍過剰発現させても機能を相補できなかった。以上の結果から、Mcm10の本質的な機能に重要なのは、種を超えて保存されている領域であり、Mcm2-7複合体との相互作用ドメインは、Mcm10を複製の場ヘリクルートする際に補助的な役割を果たしている可能性が示唆された。
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RIKEN Accel.Prog.Rep
巻: 43 ページ: 275
巻: 43 ページ: 276
巻: 43 ページ: 280
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