研究概要 |
WNK1ホモ欠損マウスは胎生期11日から13日の間で致死となる。この過程におけるWNK1の標的因子を明らかにするために、WNK1ホモ欠損マウスが致死になる一日前の時期の野生型およびホモ欠損マウス胚からmRNAを調整し、マイクロアレイ解析(GeneChip,Affymetrix社)を行った。発現量が二倍、あるいは半分になる遺伝子をそれぞれ20以上見出した。致死の原因と明らかに思われるものは見出せなかったが、その中のいくつかの候補遺伝子については解析を継続中である。 WNK1の制御機構あるいはエフェクター分子を見出す目的で、HEK293細胞にflag-tag付きWNK1を発現させflag抗体免疫沈降物中に含まれる因子を同定するという手法によりWNK1結合因子を探索した結果、WNKファミリーキナーゼであるWNK3,WNK4が結合候補分子として得られた。培養細胞での過剰発現系で調べたところ、WNK1はWNK3,WNK4ならびに他のファミリー分子であるWNK2ともヘテロダイマーを作ることが確認された。また、様々な欠失変異体を用いた解析から、WNKファミリー分子間のヘテロダイマー形成はC末側に存在するcoiled-coil領域を介して行われていることが明らかとなった。この領域内に変異をもつ遺伝性疾患の家系も存在することから、ダイマー形成能とWNKファミリー分子の機能調節に関連性がある可能性が示唆された。
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