平成22年度の本研究では動物の卵減数分裂過程における極端な不等分裂が起こるしくみを明らかにするために、その重要な必要条件である紡錘体を細胞表層へ局在し固定化されること(以後アンカーと呼ぶ)する分子機構の解明を目指している。この紡錘体のアンカーはMos-MAPKカスケードの顆粒にあるRskが単独で充分であることを明らかとした.そこで、次にこのRskが紡錘体をアンカーするためにリン酸化する標的となる基質の蛋白質を明らかにすることを試みた。その方法は、Rskによりリン酸化を受ける蛋白質に共通の配列を特異的に認識する抗体をもちいて、ヒトデの卵の減数分裂においてMos-MAPK-Rskの活性の高い時期に特異的に現れる蛋白質を免疫沈降により精製し、網羅的に解析した。その結果、不等分裂に関わると予測される候補となる蛋白質をいくつか同定した。これらの蛋白質が実際に卵の中でRskによってリン酸化されるか、また、その局在はどうなっているか?などの詳細な解析を行っているところである。
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