研究課題
細胞内で生合成される蛋白質は、アミノ酸の鎖であるポリペプチドとして翻訳されるが、正しい立体構造を獲得しなければ、その機能を発揮できない。このため、分子シャペロンと呼ばれるタンパク質群が、ポリペプチド鎖の正しい折り畳みを促し、タンパク質分子構造の形成を介助する。細胞質シャペロニンCCTは、このようなシャペロン機能を担う重要なタンパク質あるであるが、その詳細な作用機構は明らかになっていない。本研究は、8種類あるCCTサブユニット各々の機能と、これらによる複合体形成の動的制御のメカニズムを解析するとともに、CCT複合体の細胞内機能の詳しい解析を行うことで、この巧妙な分子シャペロンの細胞内機能の詳細を明らかにすることを目的とする。そこで、まず、CCTのもつ基質特異性を明らかにするため、完全無細胞翻訳系PURE systemを用いて、CCTと翻訳直後の疎水性βシート構造をもつ基質モデルペプチドとの相互作用を解析した。具体的には、CCTと翻訳直後のタグ付きモデルペプチドをフォトクロスリンク法により結合させ、ダグ抗体を用いた免疫沈降により回収した結合物を、各サブユニットに対する抗体を用いてウエスタンブロット法により解析することにより結合量を評価した。結合の強いサブユニットには、モデルペプチド分の分子量の増加が認められ、特定のサブユニットがクロスリンクされやすいことが解った。今後は、これをマススペクトル解析することで、どのサブユニット中のどのドメインが基質結合ドメインとして働くのか、明らかにして行きたい。
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