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2009 年度 実績報告書

マウス心臓弁形成過程におけるHB-EGFによる細胞増殖制御

研究課題

研究課題/領域番号 20570183
研究機関大阪大学

研究代表者

岩本 亮  大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (10213323)

キーワード細胞・組織 / 発生・分化 / 増殖因子 / 細胞間情報伝達
研究概要

HB-EGFはEGFファミリーに属する増殖因子である。我々はこれまでのHB-EGFノックアウト(KO)マウス等の各種変異マウスを用いた解析から、これらHB-EGF変異マウスはいずれも発生段階において心臓弁の著しい肥厚症状を呈し、この肥厚は後期リモデリング過程でのHB-EGF機能欠失による弁間質細胞の増殖昂進の結果であることを明らかにしている。これらのことからHB-EGFは心臓弁形成過程、特に後期リモデリング過程において、間質細胞の増殖を負に制御していることが示唆される。そこで本研究では、これまで増殖促進因子であると考えられてきたHB-EGFが、いかにして心臓弁間質細胞の増殖を抑制しているのか、その分子機構を明らかにすることを目的としている。平成21年度は、HB-EGFによる弁間質細胞の増殖抑制における、HB-EGFの受容体のひとつであるEGF受容体(EGFR)の関与・機能に焦点を当てて解析を行い、以下のことを明らかにした。1)Cushion explantを用いた弁間質細胞初代培養系において、野生型explantに対して、EGFR阻害剤は低濃度で間質細胞の増殖を促進したが、高濃度では逆にこれを抑制した。一方HB-EGF KO explantに対して、EGFR阻害剤は間質細胞の過増殖を抑制した。2)野生型あるいはHB-EGF KOの胎仔心臓弁におけるEGFRおよびその下流のERKの活性化を免疫組織化学法で検証したところ、いずれも野生型に比べてHB-EGF KOでより活性化が昂進していた。3)HB-EGF KOとWaved-2(EGFR活性低下変異)マウスとの二重変異体では、HB-EGF KO単独変異よりも弁肥厚の程度が軽減されていた。以上の結果から、弁間質細胞においてEGFRは、HB-EGFによる増殖抑制に寄与しているのみならず、HB-EGF欠損時の増殖促進にも寄与していることが明らかとなり、心臓弁発生過程の間質細胞の増殖制御にはHB-EGFによる負の制御と他のEGFRリガンドによる正の制御が拮抗していることが示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Humanized gene replacement in mice reveals the contribution of cancer stroma-derived HB-EGF to tumor growth2010

    • 著者名/発表者名
      Ichise, T., et al.
    • 雑誌名

      Cell Struct.Funct. 35

      ページ: 3-13

    • 査読あり
  • [雑誌論文] HB-EGFにおけるシェディングの役割とその制御2009

    • 著者名/発表者名
      岩本亮
    • 雑誌名

      蛋白質 核酸 酵素 54

      ページ: 1722-1727

  • [学会発表] HB-EGFとヘパラン硫酸プロテオグリカンの相互作用は正常な心臓弁形成に必須である2009

    • 著者名/発表者名
      岩本亮
    • 学会等名
      第61回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      名古屋 (名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2009-06-02
  • [備考]

    • URL

      http://cell-biology.biken.osaka-u.ac.jp/MekadaLabHP/Iwamoto/Iwamoto.html

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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