研究課題
ER exit site(ERES)は、小胞からのタンパク質輸送を媒介するCOPII小胞が形成される小胞体膜上の領域である。ERESの構築機構や生理的意義に関しては未だ不明な点が多い。本研究ではERESの構築に関与するp125とSec16A・Sec16Bに関して解析を行い、22年度は以下の結果を得た。1. p125の解析p125ノックアウトマウス(KO)由来の胎児繊維芽細胞(MEF)を用い、VSVGタンパク質の小胞体からの輸送を解析した。その結果、大量のVSVGが輸送基質として存在する場合、KOマウス由来のMEFではVSVGが細胞内に蓄積し、会合体を形成することがわかった。VSVGの量が低い場合にはこの現象は見られず、その輸送に野生型MEFとの間で違いは見られなかった。このことは、p125KOマウス由来のMEFでは、大量の輸送基質に対応する能力が低下していることを示す。p125KOマウス由来の海馬細胞および皮膚織維芽細胞の解析を行ったが、野生型マウスとの間に差は見られなかった。ERESは輸送タンパク質量の変化に応答して、数と大きさが調節される。HeLa細胞においてp125をRNAi法でノックダウンすると、この応答が低下することがわかった。2. Sec16A・Sec16Bの解析Sec16Bの発現を抑制すると、ペルオキシソーム膜形成に関与するPex3の量が減少すること、プロテアソーム阻害剤であるMG132を添加することによりその減少が回復することがわかった。Sec16B発現抑制時に小胞体から輸送できなくなったPex3が、ユビキチンプロテアソーム系によって分解される可能性が考えられる。また、photoactivatable-GFPと融合させたPex16を用いて解析を行い、Sec16B発現抑制時にPex16が小胞体に蓄積することを示唆する結果を得た。
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FEBS Lett.
巻: 584 ページ: 4389-4395
http://www.ls.toyaku.ac.jp/~cellsig/index.html