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2010 年度 実績報告書

転写因子JDP2による細胞老化および細胞増殖抑制の分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20570193
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

中出 浩司  独立行政法人理化学研究所, 遺伝子材料開発室, 協力研究員 (20392053)

キーワード老化 / ストレス / セネッセンス / クロマチン / エピジェネシス / 細胞増殖 / シグナル伝達 / 細胞周期
研究概要

哺乳類の個体における老化機構の一要因として、構成する細胞の不可逆的増殖停止、即ちセネッセンス(senescence)が挙げられる。セネッセンスに関しては、酸化ストレス等に応答してp16Ink4aとArfの発現が上昇し、それぞれの下流因子、p53およびRbの活性化を介して、サイクリンEやサイクリンDを転写レベルで抑制することにより細胞増殖が阻害されるというメカニズムが提唱されている。また、多くの癌細胞ではp16Ink4aとArfの発現が抑制されていることから、何らかの要因によりp16Ink4aとArfを介したセネッセンスを乗り越えた場合、細胞は不死化し続いて癌化が起こると考えられている。我々はクロマチン構造制御因子であるJdp2(Jun dimerization protein 2)を欠損したマウス胎児繊維芽細胞ではセネッセンスが起こりにくいことを発見し、セネッセンスにおけるJDP2の詳細な役割の解析を試みた結果、凡そ以下のようなものであると考えられた。酸化ストレスシグナルによる刺激をうけてp16Ink4aとArf locus上に結合したJDP2はヒストンH3リジン27残基のメチル化を触媒するPRC1とPRC2(Polycomb Repressive Complexes)のlocusからの離脱を促すと同時に、脱メチル化を触媒するJmjd3の結合を促し、ヒストンH3の脱メチル化を促進することによりp16Ink4aとArf locusをエピジェネティクに活性化し、p16Ink4aとArfの発現を増大させ、細胞周期が停止される。また酸化ストレスのない状態ではJDP2による細胞増殖抑制効果がみられなかったことから、JDP2は酸化ストレス依存的にセネッセンスを誘導する、換言すれば酸化ストレスシグナルのメディエーターとしての役割を果たしていると考えられた

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Suppression of cell-cycle progression by Jun dimerization protein-2 (JDP2) involves downregulation of cyclin-A2.2010

    • 著者名/発表者名
      Pan, J., et al.
    • 雑誌名

      Oncogene.

      巻: 29 ページ: 6245-6256

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epigenetic regulation of p16Ink4a and Arf by JDP2 in cellular senescence.2010

    • 著者名/発表者名
      Nakade, K., et al.
    • 雑誌名

      BioMolecular Concepts

      巻: 1 ページ: 49-58

    • 査読あり
  • [学会発表] Jun dimerization protein 2 mediates replicative senescence2010

    • 著者名/発表者名
      中出浩司、他
    • 学会等名
      第33回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド、神戸
    • 年月日
      2010-12-08
  • [学会発表] Jun dimerization protein 2 as a mediator of replicative senescence2010

    • 著者名/発表者名
      中出浩司、他
    • 学会等名
      第69回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      大阪国際会議場、大阪
    • 年月日
      2010-09-23

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公開日: 2012-07-19  

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