研究課題/領域番号 |
20570197
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
弥益 恭 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60230439)
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研究分担者 |
川村 哲規 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10466691)
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キーワード | 脳形成 / ゼブラフィッシュ / 中脳後脳境界 / 前方神経境界 / Fgf8 / Gbx2 / 転写制御 / 脊椎動物 |
研究概要 |
(1)ゼブラフィッシュ峡部領域の形成制御機構:fgf8の峡部エンハンサー(S4.2領域)の機能を詳細に検討するため、神経分化能を持つマウスEC細胞P19を用いたレポーターアッセイに着手し、実際にS4.2のエンハンサー活性がP19でも観察されること、S4.2の活性がMHB領域で発現する様々な遺伝子により制御されることを見いだした。さらに、in vivo実験で抑制活性が見いだされたS4.2内28bp領域(2c領域)が、P19細胞でも転写制御に関わることを見いだした。これらの結果は、P19細胞を用いた培養系がS4.2領域のエンハンサー機能を解析する上で有用であることを示すものである。一方、ゼブラフィッシュの場合、峡部形成には原腸形成期に一過的に神経板で発現するclass V POU転写因子遺伝子pou2が不可欠であることが知られるが、転写抑制型Pou2遺伝子を導入したtransgenic fishを用い、pou2がMHB周辺でpax2aを直接制御することを示唆する結果を得た。 (2)ANR/ANB領域特異的転写制御機構:脊椎動物胚の終脳前端(ANB)は終脳(大脳)及び間脳の形成を支配するシグナルセンターであるが、ゼブラフィッシュのfgf8及びemx3はANB形成を制御する。これら2遺伝子のANB特異的エンハンサーの配列解析より、前脳形成に関わる転写因子の結合を予想し、EMSA解析によりそれらの少なくとも一部(Emx3等)が実際にエンハンサー領域に結合することを確認した。 (3)脳形成異常変異体の作成と遺伝学的解析:ゼブラフィッシュ脳形成異常スクリーニングにより見いだされた変異体(aa6k)について表現型解析と原因遺伝子の同定を進め、本変異体では各種神経堤マーカーの発現が低下すること、24hpfから30hpfにかけて頭部を中心にアポトーシスが顕著であること、等を確認した。原因遺伝子については、これまで約20の周辺遺伝子について発現と配列の確認とmRNA導入の効果の検討を個別に進めており、原因遺伝子を絞り込みつつある。
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