研究課題
ミドリイシ属サンゴのプラヌラ幼生は、着生変態に先立ち、基盤に接しながら遊泳する。基盤上の環境シグナルを受容した感覚神経から変態ホルモンが分泌され、変態反応が開始されると考えられている。変態反応を制御するシグナルの経路と体内における部域性を明らかにするため、幼生をガラス針で切り分け、各断片のシグナル応答性を調べた。まず、基盤上の環境シグナルへの応答性を調べた。浸漬基盤に対して、反口端側1/2断片は変態したが、口端側1/2断片は変態しなかった。次に、感覚神経から分泌される変態ホルモンへの応答性を調べた。部域性を絞るため、1:2の比率で幼生を切断した。その結果、反口端側1/3断片は変態したが、口端側2/3断片は変態しなかった。以上により、変態ホルモン応答性は体の反口端側に局在していることが明らかとなった。環境シグナル応答性にみられた部域性は、その経路の下流にある変態ホルモン応答性の部域性のためであると考えられる。口端側断片にはホルモン応答性がなかったことから、全身での変態の実行にはホルモンの下流に更なるシグナルが必要であり、ホルモンに応答して下流シグナルを分泌する組織が反口端側に局在していると推定される。これらの部域特異性の要因を絞り込むために、変態ホルモン産生細胞の特定は重要である。変態ホルモンに対する抗体の作製を3度試みたが、ペプチドが短いこともあって特異的抗体を得ることが出来ず、ホルモン産生細胞の検出はできなかった。
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