Blimp1の発現が終了するタイミングを決める機構を知るため、3齢後期幼虫の体の前半部分の器官を20ヒドロキシエクダイソン存在下で培養したところ、E75A mRNA量は、3時間まで増加したもののその後減少したのに対して、Blimp-1 mRNA量は、1、5時間まで増加し、その後変動しなかった。また、培養開始後6時間にシクロヘキシミドを加えてさらに1、5時間培養したところ、E75A mRNA量は変動しなかったが、Blimp-1 mRNA量は増加した。また、器官培養系にアクチノマイシンDを加えて転写を止めたところ、Blimp-1 mRNA量は急激に低下した。さらに、体内のエクダイソン濃度が高い時期が約7時間続いた前蛹になってから2時間の個体の体の前半部分の器官を20ヒドロキシエクダイソン存在下で培養したところ、E75A mRNAの新たな誘導は観察されなかったが、Blimp-1 mRNAの誘導は低エクダイソン時個体の器官と同様に観察された。これらのことから、Blimp-1 mRNAは非常に不安定で、エクダイソン濃度低下すると転写が終了し、直ちに分解する機構をもっており、そのためにエクダイソン濃度低下後すぐにBlimp-1が消失するようになっていることが明らかになった。 次にhsFTZ-F1系統を用いてFTZ-F1を熱ショックプロモーター依存下に本来の発現時期よりも早く発現させたところ、蛹化のタイミングが早くなり、Blimp-1の発現の終了によってFTZ-F1の発現のタイミングが決定されるという今まで得られている結果を支持した。
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