マウスの性決定、性分化にmicroRNA (miRNA)が関与しているのかを検討するため、以下の2点のアプローチを実行した。 1.胎児期生殖腺支持細胞に於いて、miRNAの発現に雌雄差があるのかを検討した。胎児期生殖腺支持細胞特異的にEGFPを発現するマウスを得るため、Sf1プロモーターの制御下にEGFPを発現させるためのトランスジェニック(Tg)マウスを作成したが、発現するものは得られなかった。次に、Jackson InstituteからSry周辺の14.6kbのゲノム断片中のSryをEGFPに置き換えた配列をトランスジーンとして持つTgマウス(Sry-EGFP)を導入した。Sry-EGFPでは胎児期生殖腺支持細胞特異的にEGFPを発現するため、EGFPを指標にセルソーターにより胎児期11.5日、12.5日、13.5日の支持細胞を回収しtotalRNAとsmallRNAを分取後、totalRNAからRT-PCRにより細胞の純度を検討した。胎児期13.5日雌の細胞以外は純度が高く回収されていた。胎児期13.5日の雌以外の各支持細胞のsmall RNAを用いてmRAP法とSolexa Genome Analyzerにて塩基配列の決定を行った。各サンプルからそれぞれ20万個以上の高精度の塩基配列情報を収集し、現在コンピュータによりmiRNAプロファイリング化、新規のmiRNAの同定、雌雄で発現に差のあるものの候補の抽出作業を行っている。 2.性決定、性分化へのmiRNAの関与を検討するため、Dicer遺伝子にloxP配列を導入したマウスの生殖腺にcre発現ベクターをin vivo electroporationで導入し、その後培養することにより生殖腺でのDicer遺伝子のノックアウトを試みている。現在コントロールであるGFP発現ベクターの導入を検討中である。
|