研究課題
原腸胚の帯域でリング状に発現するXDeltalの役割を明らかにするために、マイクロアレイを用いてNotchシグナルの標的遺伝子を網羅的に検索した結果、新規標的遺伝子としてXoct25とp27Xiclを見いだした。本年度の研究では、中胚葉形成におけるXoct25とp27Xiclの役割を明らかにするために以下の研究を行った。(1)中胚葉形成におけるXoct25の機能解析モルフォリノオリゴDNAを用いてXoct25の翻訳阻害を行った結果、Xoct25欠損は中胚葉形成を阻害し、神経胚期までに細胞死を引き起こすことがわかった。一方Xoct25の過剰発現胚は一時的にXbraの発現低下と原腸陥入遅延を示すが、その後は正常に発生し、中胚葉形成領域の拡張と筋組織の過剰形成に至ることがわかった。Xbraのプロモーター解析およびXoct25のChIPアッセイを行った結果、Xoct25はXbraのプロモーターに直接結合しXbraの遺伝子発現を活性化することがわかった。これらの結果から、原腸胚期の帯域に発現するXoct25はXbraの発現量を調整することにより、中胚葉の形成領域を適正化する役割をもつものと考えられる。(2)中胚葉形成におけるp27Xiclの機能解析p27Xiclの初期原腸胚における時空間的発現パターンをRT-PCRおよびWISH法により調べた結果、p27XiclはXdeltal発現直後に原腸胚帯域で高い遺伝子発現を示すことがわかった。XdeltalのモルフォリノオリゴDNAは原腸陥入不全を引き起こすが、この陥入不全はp27Xiclの共注入によってレスキューされることがわかった。これらの結果から、Notchシグナルの下流でp27Xiclは卵割期の細胞を細胞分裂相から細胞分化相へと切り替える役割を果たしているものと考えられる。
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Toxicol Sci. 108(2)
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