研究課題
脊索動物体制進化の道筋を解き明かすために、脊索動物の祖先的な特徴を有しているナメクジウオ(頭索動物)と脊索動物に近縁なギボシムシ(半索動物)は非常に重要な系統発生学的な位置にある動物群である。しかし、現在までこれらの動物は胚発生過程のサンプルを手に入れることが難しいこと、また、卵・胚への遺伝子導入が困難なことなどから、他のモデル生物と比べて実験発生生物学的アプローチがほとんど進んでいない未知の領域である。そこで、平成21年度は新たな比較ゲノムワイドアプローチを用いた脊索-神経相互作用の分子基盤研究に取り組むために、特にナメクジウオとギボシムシの胚発生過程のサンプル採集を中心に遂行した。その結果、ギボシムシ胚に関しては解析に十分量の胚を確保できたが、ナメクジウオ胚はさらに胚サンプルを確保する必要がある。また、これまで我々が明らかにしてきた、ホヤ(尾索動物)の脊索特異的遺伝子約140遺伝子について、メダカ(脊椎動物)、ナメクジウオ(頭索動物)、ギボシムシ(半索動物)、ウニ(棘皮動物)のゲノム情報とEST情報をもとに各遺伝子アノテーションと分子系統樹解析を行った。脊索-神経相互作用を担う分子機能の解析に関しては、実験発生生物学的なアプローチが容易なホヤを用いて行った。その結果、Brachyuryターゲット遺伝子の一つであるCi-Noto4 mRNAが脊索の収斂と伸長運動にPTBドメインを介して重要な働きをすることを明らかにした。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Zool.Sci. 27
ページ: 110-118
Int.J.Dev.Biol. (in press)