研究概要 |
共生関連遺伝子の進化的特徴の解析を行なった。多くのnod遺伝子に根粒菌での単系統性が見つかった。またnod遺伝子群全体の転写因子として鋤くnodD遺伝子には,遺伝子重複がみつかった。Nod因子の基質となる単糖の合成に働くnodM遺伝子には、2つの独立な系統における遺伝子機能の平行進化が、Nod因子の宿主特異的な修飾に働くnodEF遺伝子群において、遺伝子水平移行に伴う宿主特異性進化が起きたことが推定された。このような共生遺伝子の特徴のうち、遺伝子水平移行と遺伝子重複に焦点を当て、23個の根粒形成遺伝子nodA-Zについて解析したところ、18遺伝子が本研究の方法で予測可能であることがわかった。そこでMesorhlzobiumゲノムの遺伝子配列を用い100種強のバクテリアと比較ゲノム解析した結果、nod遺伝子以外に共生アイランド全体の検出に成功した。一方でこの領域内に数多くの共生とは関係のないハウスキーピング遺伝子の存在が推測され、ここから複数回の共生アイランド水平移行とゲノム内遺伝子転移の可能性が示された。さらに本解析による機能推定により1つ1つの共生関連遺伝子(nod,nol,nif,fix genes)の検出に成功し、また共生アイランドの外に今まで共生への関与が知られていなかった数多くの遺伝子が発見された。 本当に新しい共生関連遺伝子が、これらの推定で発見し得たのかどうかを調べるため、推定遺伝子の遺伝子破壊菌株を作成し、植物に感染させている。その結果、いくつかの遺伝子でその破壊により根粒数の減少が見受けられた。また逆に遺伝子破娘により着生数が増える遺伝子がいくつも見つかった。根粒菌着生域の半径を測定したところ、根粒数が減少した時には根粒体積が大きくなり、逆に増加した時には体積が減少する事がわかった。数と体積にみうけられる反比例の関係に注目しさらに解析を続けている。
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