ウイルス変異は免疫回避を促す一方で宿主受容体への結合能力低下(またはその逆)といった対立した効果をもたらすことがある。この宿主内における多面的な変異が如何に宿主集団における免疫回避に影響を与えるかを調べた。ウイルスゲノムに生じた変異と適応進化との因果関係を調べるために数理モデルを開発し、集団遺伝学の理論を用いて変異の宿主集団における固定確率を求めた。高い確率で定着する変異はワクチンがどれくらいの期間有効であるかを決定づけるものである。SARSコロナウイルスの適応進化をシミュレートし、ワクチン接種を受けた宿主集団に高い確率で定着し得る変異が起こり得ることを示した。
|