研究課題
特別研究促進費
遺伝子トラップ法によるミュータント系統の作成当初トラップベクターとしては、スプライシングアクセプター配列を連結したGFP遺伝子を用いる予定であった。しかし、研究代表者及び米国バージニア大学のGrainger研究室がおこなった予備実験から、スプライシング型ベクターはゲノム中の挿入先によっては強いバックグラウンド発現を示すことが明らかになった。このことと、サカナにおいて、スプライシング型ベクターよりも、エンハンサートラップベクター(基本プロモーター配列を連結したGFP遺伝子)によってミュータジェネシスが成功していることを考え、新たにゼノパス用のエンハンサートラップベクターの構築をおこなった。まずトロピカリスのゲノムDNAからhsp70遺伝子のプロモーター領域(-0.6〜+1.0kb)を単離した。このプロモーター領域を上流から少しずつ欠失させたものをGFP遺伝子に連結して、トランスジェニック解析をおこなったところ、-0.6kbでは体全体でGFPが強く発現するが、-0.2kbまで欠失させると発現がほぼ消失した。次にこの-0.2kbのプロモーターにSix3遺伝子の前脳エンハンサーあるいはNkx2-5遺伝子の心臓エンハンサーを連結すると、GFPは前脳および心臓で強く発現した。これらの結果から、-0.2kb領域をGFPに連結したものが、プロモーター自体のバックグラウンド発現が低く、かつ様々なエンハンサーによく応答し、トラップベクターに適していると考えられた。このトラップベクターを用いてスクリーニングをおこない、脳や脊髄、眼、あるいは体節でGFPを発現するものを合計20個体得た。現在スクリーニングを続けると同時に、これらトラップ個体(FO)を育ててF1を作成中である。
基盤C
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Development, Growth & Differentiation 51
ページ: 387-401
http://bsgcoe.naist.jp/special-grp03.html