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2008 年度 実績報告書

XLFを介したDNA損傷認識を制御する新しい細胞内情報伝達系の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20579003
研究種目

特別研究促進費

研究機関熊本大学

研究代表者

矢野 憲一  熊本大学, バイオエレクトリクス研究センター, 教授 (70311230)

キーワードDNA損傷 / DNA修復 / 非相同末端連結 / DNA二重鎖切断 / Ku / XLF / イノシトール6リン酸 / 細胞内情報伝達
研究概要

最も重篤な細胞障害の一つであるDNA二重鎖切断は、ヒトにおいては主に非相同末端連結によって修復される。XLFとKuはこの経路においてDNA損傷の認識に関与している。最近、イノシトール6リン酸(IP6)が、Ku存在下でのXLFのDNA損傷認識能を著しく高めることが明らかになった。この観察は、IP6を介したDNA修復の制御という全く新しい細胞内情報伝達経路が存在することを強く示している。本研究では、XLFのDNA損傷認識機構を解析することを通して、このIP6を介した制御機構の詳細を明らかにすることを目標とする。本年度はまずXLF-KuによるDNA損傷認識の分子機構の詳細について検討を行った。XLFのDNA結合はDNAの長さに依存するという変わった性質があることが知られており、これを利用することで、XLFとKuはDNA上においてのみ相互作用するというユニークな特徴を証明してきた。同じ実験系を用いてマイクロモル濃度レベルのごく微量のIP6がXLF-Ku相互作用を著しく活性化することを示した。次にKuタンパク質のどのドメインがXLFとの相互作用に必要かについて検討した。Kuタンパク質はKu70ならびにKu80より構成されるヘテロ二量体であり、中央の二量体形成領域と各サブユニットのC末端領域の3つの構造単位から構成される。そこで各サブユニットのC末端を欠くKuタンパク質、両サブユニットのC末端を欠くKuタンパク質を作成し、XLFとの相互作用を検討した結果、XLFはKuの二量体形成領域に結合することを明らかにした。続いて様々なXLFの欠失体を作成し結合実験を行い、XLF中の10アミノ酸からなる領域がKuとの結合に必須であることを示した。さらに非相同末端連結反応全体に与える影響を検討するため、各種のDNA修復欠損株と相補株からの無細胞系の調製と、この反応系による機能解析を進めている。

備考

基盤C

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Cernunnos/XLF : A new player in DNA double-strand break repair2009

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Yano
    • 雑誌名

      International Journal of Biochemistry and Cell Biology 41

      ページ: 1237-1240

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular mechanism of protein assembly on DNA double-strand breaks in the non-homologous end-ioining pathway2009

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Yano
    • 雑誌名

      Journal of Radiation Research (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヒト染色体DNA切断の修復機構2009

    • 著者名/発表者名
      足立典隆
    • 雑誌名

      蛋白質核酸酵素 54

      ページ: 472-478

  • [雑誌論文] DNA-PK and ATM phosphorylation sites in XLF/Cernunnos are not reauired for repair of DNA double strand breaks2008

    • 著者名/発表者名
      Yaping Yu
    • 雑誌名

      DNA Repair 7

      ページ: 1680-1692

    • 査読あり
  • [学会発表] リアルタイム・イメージングから明らかになったNHEJ経路におけるDNA損傷認識機構2008

    • 著者名/発表者名
      矢野憲一
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会・第81回日本生化学学合同年会
    • 発表場所
      兵庫県神戸市
    • 年月日
      2008-12-11
  • [学会発表] 非相同末端連結修復におけるDNA二本鎖切断認識機構のライブセルイメージング解析2008

    • 著者名/発表者名
      矢野憲一
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第51回大会
    • 発表場所
      福岡県北九州市
    • 年月日
      2008-11-18
  • [学会発表] Molecular mechanism of DNA damage recognition in the non-homologou s end-joining repair pathway2008

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Yano
    • 学会等名
      第67回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市
    • 年月日
      2008-10-28
  • [学会発表] Dynamics of DNA-PK complex at localized DNA damage sites in living cells2008

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Yano
    • 学会等名
      Ataxia-telangiectasia Workshop 2008
    • 発表場所
      滋賀県大津市
    • 年月日
      2008-04-23
  • [学会発表] Live cell imaging of XLF and XRCC4 reveals a novel view of protein a ssembly in the non-homologous end joining pathway2008

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Yano
    • 学会等名
      Ataxia-telangiectasia Workshop 2008
    • 発表場所
      滋賀県大津市
    • 年月日
      2008-04-22

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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