研究概要 |
ホウレンソウには雄花のみを着生させる雄株および雌花のみを着生させる雌株に加えて、雌花と雄花あるいは商性花が様々な比率で混成する多様な間性(両性)株が見出される。ホウレンソウの性型は雄と雌が1:1で分離することが古くから知られており、一対の遺伝子(XおよびY)によって性が支配され, 雄および雌の遺伝子型がそれぞれXYおよびXXであることが明らかにされている. 今年度は間性形質を支配する遺伝子の同定を試みた. まず、雌株(系統03-009)と間性系統(03-336)の交雑によって得られたF1個体を雄株(系統03-009)と交配して作出した(03-009♀×03-336♀)×O3-009♂BC1F1世代(169個体)は, 雄株(雌性率0%), 間性株(雌性率5〜85%)および雌株(雌性率100〜95%)がそれぞれ91:43:35に分離した. この分離比は, 系統03-336の間性発現を支配する遺伝子として不完全優性のM遺伝子を仮定し, さらにYがMに対して上位である場合に期待される当該BC1F1世代の分離比(XY ; Mm : XY ; mm : XX ; Mm : XX ; mm=1:1:1:1(雄株 : 間性株 : 雌族=2 : 1 : 1))に対して高い適合性を示した(x2(2:1:1) ; 1. 76, p=0. 415). 次いで, X/Y遺伝子と既報のSSRマーカー(SO4)の連鎖を検証した結果, 両者の遺伝距離は2. 4±1. 7cM(組み換え価2. 4±1. 7%)と算出された. 一方, M遺伝子とSO4の間に関しても連鎖していることが判明した. 即ち, X/Y遺伝子とM遺伝子が同一染色体に座乗していることが明らかとなった.
|