研究概要 |
前年度までに導入した3種の塩応答性遺伝子(BgARP1,BgZF1,BgLTP)を導入したシロイヌナズナの耐塩性検定を行なった。いずれの遺伝子を導入した系統も150mM NaClを含む培地で野生型に比べて良好な生育が認められた。BgARP1導入系統のマイクロアレイ解析は、予算的に実施が困難であるため、リアルタイムRT-PCR法によって耐塩性シグナルの下流に位置する遺伝子の発現を野生型と比較した。発芽4日後の幼植物を、150mM NaClを含む培地に移植した場合に、組換え系統ではosmotinの発現量が増強されていた。また、発芽1ヶ月後の植物を塩処理した場合には、組換え系統では、野生型で見られる塩処理6時間後のRD29A、RD29B、RD22の一過的な発現量の増加が抑制されていた。また、組換え系統では、塩処理条件下でのK^+イオンの含量が比較的高く保たれていた。これらのことから、BgARP1導入系統では、K^+イオンの恒常性の維持、osmotinの高発現、およびRD29A、RD29B、RD22の過剰発現の抑制により耐塩性を獲得していることが推測された。 また、マイクロアレイで同定した塩応答性遺伝子のうち、新たに10種をシロイヌナズナに導入し、T_2種子を得て耐塩性検定を実施した。 塩処理したオヒルギのプロテオーム解析から、塩応答性タンパク質としてFBP aldolase、osmotinと新規なタンパク質を見出した。FBP aldolaseとosmotinの発現ベクターを構築してシロイヌナズナに導入した。
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