研究概要 |
キュウリの幼果がその表面にケイ素を多く蓄積した構造を持つことから,キュウリに利用可能なケイ酸の多少力弐,キュウリの着果から肥大にいたる過程での果実の乾燥ストレス耐性に影響するという仮説を立てポット試験を行った.あわせて,黄表面の毛にケイ素が蓄積するダイズについても,同様の検討をした。具体的には,ビニールハウスで,ダイズとキュウリをポット栽培し,それぞれの開花開始期から灌水量を減らして2水準の土壌乾燥ストレスを加えた.灌水には脱イオン水を用い,対照区(脱イオン水)とケイ酸施肥区(脱イオン水にケイ酸500ppmを添加)の2区を設けた.キュウリは,8月下旬からの1ヶ月間に着果した雌花を計数し,後日,収穫に至った果実の割合(生存率).と新鮮重を調査した.ダイズについては,収穫期に黄数と黄乾物重を計測した.その結果,ダイズにおいては,今回の実験では,葵数・黄重ともに,ケイ酸施用による有意な差異は認められなかった.キュウリの着果数は,土壌乾燥が厳しくなると大きく減少したが,ケイ酸施肥の有無による差異はみられなかった.次に,着果した内の収穫に至った果実の数は,中程度の土壌乾燥処理区ではケイ酸施肥した区のほうが大きく,乾燥下で幼果が収穫に至るまで生存することにケイ酸が寄与する可能性が示唆された.ただし,強い土壌乾燥ストレス区では,有意な差異がみられなかった.今回の試験では,ダイズ・キュウリともに,供試したポットが小さく当初の想定以上に強い極端な乾燥がかかった.次年度では,これらの問題点を改善して追試験を行い,検証を続ける予定である.
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