研究概要 |
光合成速度の主要な律速因子はCO_2固定の初発反応を担うRubiscoと考えられる.将来的な高CO_2環境でのイネの光合成能力の改良に有効な高活性型RubiscoをC_4植物,寒地型牧草類,高山植物の中で探索した.その結果,チモシー,ウシノケグサ,ソルガムが触媒活性(kcat)が高く,かつCO_2に対する親和性も比較的高いRubiscoを持つことがわかった.その3種の中でkcatがイネの約2. 5培と最も高かったソルガムのRubiscoをイネに導入することとした. Rubiscoは大サブユニット(RbcL)と小サブユニット(RbcS)の2種類のタンパク質により構成されている. RbcLは葉緑体DNAにコードされており,相同組み換えによるソルガムRbcLの導入を試みたが今のところ成功していない.しかし,ソルガムRubisco小サブユニットのイネへの導入は成功し,最大で全RbcSの80%がソルガムRbcSとなる形質転換イネが得られた.そしてソルガムRbcS形質転換イネではRubiscoの分子当たりのkcatがイネに比べて50%増加した.しかし,形質転換イネではRubisco量が増加し, Rubiscoの活性化率が低下した.つまり形質転換イネでは窒素利用効率が低下したために光合成速度は増加しなかったと考えられる.本研究では光合成速度の改良までは達成できなかったが, Rubiscoの触媒特性を改良することに成功したことから,今後の光合成能力の改良に大いに利用できる結果が得られた.
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