研究概要 |
供試作物は前年度と同様,トマト`ハウス桃太郎'を供試した. 1. トマト栽培の育苗期における魚肉エキス濃度の検討:魚肉エキスの添加濃度を500,1,000および1,500倍の3段階とし,添加方法は14日間で徐々に添加し,硝酸濃度が200mg/Lを超えた段階で,魚肉エキスの添加を中止し,5日間放置した.対照区は無機水耕肥料を用い,主要成分濃度を500倍区と同一に調整した.なお,トマトの育苗はプラスチックコンテナを用いた湛液水耕で,無機水耕肥料により,全て同一の管理を実施した,育苗中,本葉が4~5葉程度展開した苗を水耕栽培装置に定植し栽培し,生育調査を行った.その結果,栄養成長量は魚肉エキス濃度が高いほどやや抑制されたが,葉色は逆に濃くなった. 2. 定植後の魚肉エキスの添加量の検討:定植後の魚肉エキスの添加濃度を500,1,000および1,500倍の3段階とし,生育,開花日,収量および品質に及ぼす影響を調査した.その結果,開花時期,果実品質には処理区間に差異はなかったが,魚肉エキス区の収量は対照区に比べ尻腐れ果の発生が多く,低下した.果実糖度,滴定酸度およびアスコルビン酸含量には,大きな差はなく,魚肉エキスでも対照区と同様な果実が収穫可能であった.根のTTC還元活性を測定したが,処理区間に差異はみられなかった.収穫終了時点での地上部の新鮮重・乾物重は,魚肉エキス濃度が高いほどやや抑制されたが,地下部の新鮮重・乾物重は対照区に比べ魚肉エキス区で増加傾向であった.無機養分の吸収量などに大きな差はなかった.
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