マンゴーの短梢整枝を用いた施設内栽培について、前年果実収穫後に、結果枝(収穫済み)の基部あるいは車枝状に発生した結果枝群の台座部分より剪定した場合、結果枝の側芽あるいは台座部分の陰芽が順調に萌発し、数本の結果母枝が得られることが明らかになった。これら結果母枝は秋季に2回の伸長を行いながらさらに分枝し、冬季には低温によって伸長停滞するが、初春季の加温によって良好な着花枝を十分量形成した。この結果、施設内の温度管理によって冬季に樹に花芽分化に必要な低温を容易に与えられる地域では、短梢仕立てを採用すれば樹勢の維持が容易になるとともに、樹冠内の無効容積を少なくしながら花数の確保ができることが判明し、本樹形の有用性が示された。 不受精単為結果果実の活用については、ジベレリン剤(GA3)およびフルメット剤(CPPU)の混合濃度および処理時期の調整、および処理に適した果実の選択により、無種子果実の着生率を高めることに成功した。また、マンゴー自身から抽出した内生ジベレリンを単為結果果実への処理に用いることの検討を行い、マンゴーの葉の抽出物中に、活性型ジベレリンであると推測されるGA1およびその中間代謝物数種と、モモなどの核果類で同定されている極性の高いGAであるGA32に近似する活性を認めた。核果類とマンゴーはともに内果皮の堅化する1心皮果樹であるという共通点があり、この高極性ジベレリンの機能とその利用の可能性について興味が持たれるところである。
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