研究概要 |
21年度は,ナシにおける染色体の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法の確立を図った。 ニホンナシ[Pyrus pyrifolia(Burm.F.)Nakai]'おさゴールド'およびセイヨウナシ(P.communis L.)'ラフランス'の自然交雑実生を材料とした。染色体標本作製の酵素解離の条件には,4%Cellulase Onozuka RS,1%Pectolyase Y-23で37℃,180分が適していた。プローブにはコムギ由来の18S-5.8S-25SリボゾームRNA遺伝子(rDNA)およびナシゲノムからPCR法によって増幅した18SrDNAを用いた。rDNAの位置は蛍光in situハイブリダイゼーションによって検出した.rDNAプローブはビオチン-16-dUTPで標識した.プローブはフルオレセイン(FITC)-アビジン結合体によって検出し,染色体はヨウ化プロピジウム(PI)で対比染色した.蛍光顕微鏡を用いてFITCをBフィルターで,PIをGフィルターで観察した。 おさゴールド'および'ラフランス'の18S-5.8S-25S rDNA遺伝子は,6本の染色体の端部に確認でき,この遺伝子の数および位置に種間差異は認められなかった。さらに'おさゴールド'の18S rDNA遺伝子は,18S-5.8S-25S rDNA遺伝子同様,6本の染色体の端部に確認できた. 引き続き,同時に2種類以上の遺伝子を検出するマルチカラーFISHの検討も行ったが,再現性の点で若干問題が残った。22年度はこの技術の確立を図るともに,有用遺伝子のナシ染色体上での位置を解明する。
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