マタタビ属果実の成分や機能性の品種・系統間差異を検討するため、シュウ酸やポリフェノールの含量および抗酸化性などを測定し比較した。総ポリフェノール量は、ニュージーランド系キウイフルーツ(Actinidia deliciosa種)では34-42mg/100gFWと比較的均一であったが、中国系キウイフルーツ(A. chinensis種)では28-101mg/100gFWとばらつきが大きかった。また、サルナシ(A. arguta種)では58-95mg/100gFWと高値を示した。DPPHラジカル消去能は、ニュージーランド系キウイフルーツでは2.6-5.1μmol Trolox eq./gFWであったのに対し、中国系キウイフルーツでは7.3-13.7μmol Trolox eq./gFWと全体的に高値を示した。サルナシでは4.3-15.2μmol Trolox eq./gFWと品種・系統間差異が大きかった。サルナシでは表皮において非常に高い総ポリフェノール量ならびにDPPHラジカル消去能が認められた。一方、果実内シュウ酸濃度は、ニュージーランド系キウイフルーツで17.0-39.5mg/100gFW、中国系キウイフルーツで18.4-31.3mg/100gFWであり、両者間に顕著な違いは認められなかった。シマサルナシ(A. rufa)およびサルナシの果実内シュウ酸濃度は、それぞれ44.8-101.5mg/100gFWおよび26.0-68.8mg/100gFWであり、キウイフルーツよりも高値を示す傾向が認められた。サルナシにおいて表皮の有無によるシュウ酸濃度を比較したところ、両者間に有意な差異は認められなかった。また、これら成分の多寡と食味との相関を明確にするために、マタタビ属果実の官能評価法を確立することも目指したが、本年度の実験では満足できる官能評価法の確立までには至らなかった。本実験結果は、食品機能性に優れ、なおかつ食味良好な付加価値あるマタタビ属果実優良品種を開発するための遺伝資源の選抜に寄与するものとして重要である。
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