研究課題/領域番号 |
20580042
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研究機関 | 大阪府環境農林水産総合研究所(環境情報部・環境研究 |
研究代表者 |
豊原 憲子 大阪府環境農林水産総合研究所(環境情報部・環境研究, 環境研究部, 主任研究員 (40333421)
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研究分担者 |
山本 聡 兵庫県立大学, 大学院・緑環境景観マネジメント研究科, 教授 (10231672)
長谷 範子 四天王寺大学, 人文社会学部, 准教授 (70390143)
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キーワード | 喘息 / 臨床心理 / 児童心理 / 園芸療法 |
研究概要 |
病院の屋外空間の植栽デザインと児童の行動について、基礎的知見の蓄積を行うことを目的として、児童の活動場所の選択頻度と植栽植物との関係をとらえた。対象となった児童は小学生6名、中学生2名の計8名であった。 児童が頻繁に利用する場所は植栽空間にある作業小屋であり、特定の座席に荷物を置き、1日の出来事を話してから屋外に出ることが多かった。植栽空間利用では、日々の変化や作業内容がわかりやすい畑で圧倒的に多く、植物への関心は自分の印の付いたプランターなど、固有の物に対しての反応が明確で、「水が無くなってしおれていた」など、活動時間外での観察報告があった。 高学年の児童に活動のプロモーションを兼ねた定期的な写真撮影を促すと、自主的に植栽空間の奥にまで足を伸ばし、季節の花々を一つずつ捉えて撮影することが多く、人に見せる意識が働く場合には、野菜よりも積極的に花や木々の緑を捉えた。しかし、過密に植物が繁茂する空間への進入を拒絶するケースがほとんどの児童で見られ、アクセスを制限する要因となることがわかった。植物の皮膚への接触や虫さされなど、経験的なアレルギーに対する防御反応とも捉えることができ、空間形成において重要なポイントとなった。 一方、活動参加による児童の変化を観察した結果、活動終了後の病棟において、活動に参加していない入院児・看護師に対して活動の説明をしたり、栽培物についての話をしたりするなど、園芸活動に参加する以前との様子の違いが看護師に対するヒヤリング等で捉えられた。継続した活動において、活動に参加して間もない児童の7段階評価によるフェイスマーク、モチベーション、会話量は、不安定なことが多く、活動後半に表情が良好となるパターンが多いが、活動開始時から良好に安定するようになる時期と、退院計画をすすめる時期がリンクしており、症状の改善と活動中の精神的な安定に関連性が認められた。
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