RNAサイレンシングの接ぎ木移行の解析とその利用 接ぎ木によるシグナルの移行実態の解析について、サツマイモ斑紋モザイクウイルス(SPFMV)の外被タンパク質(CP)遺伝子導入Nicotiana ben thamianaのサイレンシング系統と非サイレンシング系統を供試して実験を行った。まず、3'末端側約400塩基の領域がサイレンシングした系統では、導入遺伝子の5'末端側および中央の3分の1をプローブとしたもので、シグナルが検出され、3'末端側3分の1をプローブにしたものでは検出されなかった。一方、5'末端側200または400塩基導入し、サイレンシングした系統では、いずれのプローブでもシグナルは検出できなかった。また、低分子RNA画分のノーザンプロット解析では、前者のサイレンシング系統では、3'末端側3分の1をプローブした場合のみ、siRNAが検出され、他のプローブでは検出されなかった。後者のサイレンシング系統では5'末端側3分の1をプローブにした場合のみsiRNAが検出された。以上の結果、サイレンシング系統には導入遺伝子の領域特異的なsiRNAシグナルを生じていることが明らかになった。 さらに、上記のサイレンシング系統を台木に、非サイレンシング系統を穂木に用いた接ぎ木植物において、5'末端側3分の1および中央3分の1をプローブにした場合、siRNAは検出されず、3'末端側3分の1をプローブにした場合は検出された。このことは、上記3'末端側3分の1を標的領域とするサイレンシング系統を台木にした場合、穂木には、台木と同じ、3'末端側3分の1を標的領域とするサイレンシングが誘導され、mRNAに沿ってサイレンシングは5'末端側に拡大しなかったことを示す。
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