これまでの研究から同定した青枯病菌Ralstonia solanacearumの44種類のエフェクター遺伝子をは構成的プロモーターを用いて酵母細胞内で発現させた。酵母カルボキシペプチダーゼYの液胞への選択的小胞輸送をモニターする系(CPY-Inv系)を用いて、小胞輸送を阻害する活性を有するエフェクターを探索し、7つのエフェクターを見出した。これらのエフェクターを誘導的に発現する形質転換植物をシロイヌナズナを材料にして作出したところ、エフェクターの発現により植物の生育が著しく阻害されることを見出した。小胞輸送は植物の生理機能と密接に関連しており、また、酵母と植物の小胞輸送に関わるタンパク質群はよく保存されている。以上の理由から、これらのエフェクターは植物細胞内においても小胞輸送を阻害している可能性が考えられた。 また、上記実験において酵母内で構成的に発現させると酵母細胞の生育を阻害する活性を有するエフェクターを同定した。形質転換植物の表現型解析から、このエフェクターは植物に対しても同様に致死効果を示すことが明らかになった。植物病原細菌においてはじめて見出されたIII型エフェクタートキシンと考えられる。 並行して、44種類のエフェクターを形質転換したシロイヌナズナラインの選抜を行い、次年度以降に実施する植物に対するエフェクター機能の表現型解析の材料となる基盤整備を進めた。
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