研究課題/領域番号 |
20580055
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
荒川 良 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (10159494)
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研究分担者 |
福田 達哉 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 准教授 (00432815)
伊藤 桂 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 准教授 (40582474)
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キーワード | 昆虫 / 生態学 / 遺伝子 / 天敵 / 外来種 |
研究概要 |
2010年3月末に高知県長岡郡大豊町(標高約375m)のウバメガシ低木で採集した263個のオオミノガのミノ内の状態を同年4-5月に調べた結果、オオミノガ生存幼虫39.9%、原因不明の死亡・空のミノ42.6%、オオミノガヤドリバエによる寄生13.3%、ヒメバチ類による寄生4.2%であった。生存幼虫については研究室内で飼育を継続して成虫を羽化させた。そして人工交配により、2頭の雌から受精卵を得ることができた。6月末にそれらの卵から孵化した幼虫を高知大学農学部構内の無防除のクリの木に放飼した。その後9月5日から10月22日にかけてミノ210個を回収し内部の状態を調べた。その結果、生存幼虫9.0%、オオミノガヤドリバエによる寄生83.8%、原因不明の死亡・空のミノ7.2%であった。オオミノガヤドリバエに寄生されていたミノ176個中46個(26.1%)において、ヤドリバエに対するキアシブトコバチの寄生が認められた。2010年度の春から初夏にかけて、上記大豊町以外に高知市内、香美市内、室戸市内においてオオミノガのミノを採集することができたが、その数は地域ごとに1~10個程度と少なく、まとまった数を得ることはできなかった。またこれらのミノからはオオミノガヤドリバエの羽化済みの場合とオオミノガ幼虫が生存している場合の両方が認められた。 以上のように、1999年頃に高知県にオオミノガヤドリバエが侵入したと考えられているが、10年あまり経過してもオオミノガは県内に広く分布し、一時的に多発生していることが分かった。また、オオミノガヤドリバエによる寄生率は10年経過しても高い状態で維持されているが、オオミノガなぜ詰め津する傾向は認められず、そこにはキアシブトコバチを初めとするヤドリバエに寄生する土着の寄生蜂の働きが大きいと考えられた。
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