研究課題/領域番号 |
20580057
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
朝岡 潔 独立行政法人農業生物資源研究所, 評価室(制御剤標的遺伝子研究ユニット), 室長(主任研究員) (80391580)
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研究分担者 |
佐々木 謙 金沢工業大学, バイオ・化学部, 准教授 (40387353)
谷合 幹代子 独立行政法人農業生物資源研究所, 制御剤標的遺伝子研究ユニット, 上級研究員 (60370665)
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キーワード | カイコ / 形態形成 / 歩行行動 / 羽ばたき行動 / 神経節 / 神経生理 |
研究概要 |
昆虫のホメオティック遺伝子変異による形態形質異常が、幼虫期から成虫期における神経系の形態形成異常と行動の異常を導く過程を、幼虫の腹部第2節に過剰腹脚を生じるカイコの突然変異系統E^<Nc>を用いて調べた。本年度は、1.幼虫期の過剰腹脚切除や神経節間連絡遮断などの実験操作による歩行行動への影響、2.変態期の神経節の培養による神経節短縮の再現、3.成虫期における交尾時の神経切除による羽ばたき運動パターンへの影響を調べた。 1.変異個体の過剰腹脚を切除した場合、それ以外の腹脚(特に第1-2腹脚)におけるスイング時間や前脚との歩行開始時間差が短くなった。正常個体の第1腹脚を切除した場合においても、第2-3腹脚で同様の現象が見られ、感覚フィードバックによる歩行パターンの修正が示唆された。また、尾脚の運動を制御する腹部終末神経節と他の腹部神経節の連絡を遮断したところ、歩行パターンは乱れるものの、歩行を開始させる場合があり、歩行開始の司令信号が尾脚だけでなく、他の腹脚にも連絡している可能性が示唆された。 2.吐糸直後とガットパージ1日後の幼虫から胸・腹部神経節を摘出し、組織培養を行った。20-ハイドロキシエクダイソンの濃度に依存して、神経節の短縮が促進されたが、異常・正常個体間で短縮の違いは見られなかった。 3.成虫オスの交尾時に、頭部・腹部の切除や腹部後方の冷却麻酔を行ったところ、交尾時の羽ばたき運動パターンは、頭部切除の影響を受けず、腹部後方からの入力により、断続的なパターンが形成されることがわかった。変異個体では羽ばたき開始の信号が腹部後方から胸部神経節へ正常に伝えられ、断続的なパターン形成が正常に形成されないことがわかった。
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