土壌から微細緑藻Chlorella sp.を分離し、継代培養の後、共存して培養されている細菌の組成を、16S rRNA遺伝子V3領域DGGEとクローニング、および塩基配列解読を経て、系統解析により解析した。また、代表的な土壌藻類の1種Chlorella vulgaris NIES-227株の純粋培養に土壌を接種し、共存して培養される細菌の組成を同様に解析した。その結果、系統分類学的に新規性の高い細菌を含む様々な細菌の共存が確認された。 それらの細菌から、平板培地を用いて細菌を分離した。なお、マニピュレータを用いて液体培養のままでの細菌の分離も試みたが、平板培地を用いて分離される細菌と同じ分類群の細菌以外は、培養液中の生育速度が小さく、マニピュレータによる分離に必要な生菌染色活性が低すぎて、分離に供することができなかった。平板培地を用いて分離された細菌の中には、系統分類学的に新規性が高いものは少なかった。 分離された細菌をC.vulgaris NIES-227株の純粋培養に接種し、細菌がNIES-227の生育に与える影響を試験した。その結果、期待された生育促進効果を持つ細菌分離株は認められなかった。しかし、共存することにより、NIES-227株の試験管内での生存期間を、統計的に有意に長くすることができる細菌が2株分離され、その再現性も確認された。
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