研究概要 |
高等植物ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)は、ガンマグルタミル基の加水分解、または転位活性により種々のガンマ-グルタミル化合物の生合成および分解代謝系における鍵酵素であると考えられている。しかも、グルタチオン(GSH)の異化、GSH-生体異物抱合体(GSX)の分解、システインのリサイクル系においても初発酵素として極めて重要な働きをしていると示唆されているが、その詳細、特にGGTのin vivoで担っている役割は明らかではない。シロイヌナズナには、ヘテロダイマー型GGTをコードする3種類の遺伝子(AtGGT1、AtGGT2、AtGGT3)が存在する。 平成20年度に引き続き、本研究では: 1.野生型とatggt1,atggt2,atggt3の一重変異株を用いて、metolachlor, acinuorfenなどのGSX形式による解毒機構が推定されている除草剤、diamide, paraquatなどの酸化剤、カドミウムを含む培地での生育について検討したが、atggt変異株は、野生型と同程度のストレス耐性を示した。 2.AtGGT1、AtGGT2、AtGGT3の担っている役割が重なるという可能性があることから、交配によりatggt1-atggt3、atggt2-atggt3二重変異株を作成した。 3.GGTとGSH合成との関連について解析を行うために、GSH合成の第一段階を触媒するガンマグルタミルシステイン合成酵素(γ-ECS)をコードする遺伝子(GSH1)のpad2.1変異株を用いて、交配によりatggt1-pad2.1,atggt2-pad2.1,atggt3-pad2.1二重変異株を作成した。 4.細胞内におけるAtGGTタンパク質の局在解析を行うために、AtGGT1、AtGGT2、AtGGT3のcDNAsをRT-PCRで、AtGGT1、AtGGT2、AtGGT3のプロモーターをゲノムPCRでクローニングした。また、バイナリーベクター(pBIGFP)を用いて、AtGGT1、AtGGT2、AtGGT3プロモーターの制御下のもとに発現されるAtGGT1、AtGGT2、AtGGT3とGFPの融合遺伝子を作成した。
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