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2010 年度 実績報告書

安定同位体比を用いた黒ボク土下層土中の吸着態硫酸イオンの起源と移動性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20580067
研究機関独立行政法人農業環境技術研究所

研究代表者

加藤 英孝  独立行政法人農業環境技術研究所, 物質循環研究領域, 上席研究員 (10354036)

研究分担者 前田 守弘  岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (00355546)
キーワード土壌 / 土壌圏現象 / 物質動態 / 安定同位体 / 黒ボク土
研究概要

黒ボク土下層土の多くには多量の硫酸イオンが吸着されているが,その主たる起源が何なのか,起源の異なる硫酸イオンには,移動性や硝酸イオンなど他種陰イオンの吸着・移動への影響にどのような違いがあるのかは明らかにされていない。これらの解明を目的として,黒ボク土畑圃場(谷和原化学肥料区)および同一の降下火山灰累積層を母材とする黒ボク土普通畑(大隅化学肥料区)・未耕地と茶園(知覧茶園)を対象として,吸着態硫酸イオンの硫黄安定同位体比(δ34S値)を測定した。また,Thin diskを用いた溶出実験および同位体希釈法により,硫酸イオンの脱離特性と交換反応特性を解析した。
いずれの圃場においても,高濃度で集積した硫酸イオンのδ34S値は-0.8%。から+1.8%。の範囲にあり,施用された化学肥料・有機質肥料のδ34S値(-4.8~+1.4%。)に近かった。一方,施肥の影響のない大隅未耕地および硫酸イオン集積量の少ない谷和原深層土(深さ241-250cm)のδ34S値は,それぞれ9.4%。および7.5~11.8%。と高かった。Thin diskを用いた蒸留水の通水による溶出実験では,硫酸イオンが多量に集積した土壌からは吸着態硫酸イオンのほぼ半分が脱離したのに対し,施肥の影響の小さい谷和原深層土では脱離が進みにくく,13%が脱離したに過ぎなかった。また,集積した硫酸イオンは交換反応性が高く,同位体希釈法により求めた"交換"可能な硫酸イオンの含量は,吸着態硫酸イオン含量にほぼ等しかった。
これらの結果は,黒ボク土畑圃場に集積した硫酸イオンが施肥由来であるのに対し,施肥の影響を受ける前から存在した硫酸イオンは海塩性硫酸塩などの風送塩が主たる起源であること,施肥由来の吸着態硫酸イオンは比較的脱離しやすく,土層内での移動性が大きいことを示す。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 見かけの塩吸収によるアロフェン質黒ボク土下層土の硝酸イオン吸着と移動遅延2011

    • 著者名/発表者名
      田村和杏・中原治・田中正一・加藤英孝・長谷川周一
    • 雑誌名

      日本土壌肥料学雑誌

      巻: 82 ページ: 114-122

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 重窒素標識牛ふん堆肥を施用した黒ボク土モノリスライシメータにおける2年半の窒素動態2010

    • 著者名/発表者名
      井原啓貴・前田守弘・高橋茂・駒田充生・太田健
    • 雑誌名

      日本土壌肥料学雑誌

      巻: 81 ページ: 489-498

    • 査読あり
  • [学会発表] 黒ボク下層土における硫酸イオンの起源と交換性-安定同位体自然存在比を用いた解析-2011

    • 著者名/発表者名
      山田大介・前田守弘・加藤英孝・千葉仁
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2011年つくば大会
    • 発表場所
      つくば国際会議場(つくば市)(発表確定)
    • 年月日
      20110808-20110810
  • [学会発表] 畑地における有機物施用と窒素環境負荷2011

    • 著者名/発表者名
      前田守弘
    • 学会等名
      第28回土水研究会-温暖化緩和策と土・水圏の物質循環研究の接点
    • 発表場所
      農林水産技術会議事務局 筑波事務所(つくば市)(招待講演)
    • 年月日
      2011-02-23
  • [学会発表] 畑作と地下水2010

    • 著者名/発表者名
      前田守弘
    • 学会等名
      第19回日本水環境学会市民セミナー「食糧と水-私たちが生きていくために-」
    • 発表場所
      いであ株式会社大阪支社(大阪市)(招待講演)
    • 年月日
      2010-08-27

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公開日: 2012-07-19  

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