研究課題
糸状菌由来で一部のフェルラ酸エステラーゼは同じく糸状菌タンナーゼ(EC 3.1.1.20)とアミノ酸レベルでそれほど高くはないものの類似性があり、同じファミリーに分類されている。タンナーゼは茶飲料やワインの混濁防止に欠かせない酵素である。Aspergillus oryzaeのゲノム情報から上記フェルラ酸エステラーゼやタンナーゼの活性中心であるセリン残基近傍のモチーフが一致した遺伝子配列を見いだした。この遺伝子配列は沼A.nigerなど他の糸状菌にも類似配列が存在し、アミノ酸配列全体の相同性はフェルラ酸エステラーゼやタンナーゼとは20%程度と機能的に別個な酵素の可能性が示唆された。そこで、この遺伝子のクローン化と高生産が期待できるPichia pastorisによるリコンビナント酵素の取得、リコンビナント酵素の特性解析を行った。その結果、基質特異性はフェルラ酸エステラーゼ基質、タンナーゼ基質には活性を示さず、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸ブチルに対して活性を示した。これらはパラベンと称され、抗菌剤として食品、日用品、化粧品等に配合されている。糸状菌由来のパラベンエステラーゼは初めて見出され、本酵素はAoPrbAと命名した。パラベンからアシル基が加水分解された4-ヒドロキシ安息香酸は抗菌性が無くなり、パラベン加水分解酵素はパラベンの抗菌性に対して微生物の防御機構の一つと考えられた。
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