研究課題
PC12細胞において神経成長因子(NGF)はMAPキナーゼ(MAPK)を活性化させるが、それがリゾホスファチジルコリン(LPC)によって顕著に亢進されることがわかった。種々のリゾリン脂質についても調べたところ、Gタンパク質共役型受容体を介した生理作用が知られているリゾホスファチジン酸では効果が見られず、LPCが最も強い作用を有していた。MAPKは上皮増殖因子によっても活性化するが、興味深いことにLPCによる亢進作用は認められず、LPCの効果がNGFに特異的であることがわかった。併行して、麹菌の持つ唯一の細胞質型ホスホリパーゼA_2遺伝子であるAoplaAに関する解析も行った。前年度までにAoPlaAがミトコンドリアに局在化することが明らかになったことから、より詳細な検討を行った。N末端アミノ酸配列分析からAoPlaAがN末端にミトコンドリア局在化シグナルを持つことが示唆された。そこでAoPlaAのN末端65アミノ酸をEGFPに連結させその局在を調べたところ、ミトコンドリアへの局在が認められた。続いてAoPlaA-EGFPを発現する出芽酵母からミトコンドリアを精製してその分画実験を行った。その結果、AoPlaA-EGFPがミトコンドリアの内膜と外膜の間の膜間領域に局在することを明らかにした。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
J.Neurosci.Res. 87
ページ: 190-199