mRNAの核外輸送の抑制やhyperadenylation、P-bodyやstress granuleの形成誘導などから、エタノールストレス条件下では全体としてmRNAの翻訳が抑制される傾向にあることがわかった。また、エタノールストレス条件下では、必ずしも転写が活性化した遺伝子が優先的に翻訳されるわけではないことも明らかになった。それゆえに、このような状況下でも優先的に発現してくる遺伝子にこそ、酵母の高いエタノール耐性の秘密が隠されていると考えられる。転写以降の制御や、転写から翻訳・分解に至るmRNA fluxに着目することで、これまでは見えてこなかった醸造過程の酵母の生理やエタノール応答機構について理解を深めることができた。
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