研究課題
本年度研究においては、 S.cerevisiae標準株より液胞を単離し、アンホテリシンB(AmB)およびポリミキシンB(PMB)が直接この細胞小器官を破壊する作用を有しているかどうかについて検討した。その結果、これら抗生物質には単離液胞膜に対して直接的な破壊作用を有することが明らかになった。アリシンには液胞膜破壊作用はなく、 PMBに関しては、その細胞内への取り込みを促進することで液胞膜への直接的な作用を助長する事実も見出している。一方、アリシンはAmBの液胞膜破壊作用に対しては異なるメカニズムでの助長作用を示した。すなわち、アリシン処理細胞においては、液胞膜のAmB耐性に必要なエルゴステロールが細胞膜から液胞膜に輸送される経路の阻害が確認された。現在、化学合成法にのみ供給されているアリシンを酵素法で生産するシステムについて検討した。まず、アリイナーゼ生産菌Ensifer adhaerence G-2株の大量培養によって菌体を確保、さらに菌体を破砕して細胞内より同酵素を分離・部分精製するための方法を確立した。一方、基質であるアリインの生産についても検討した。ニンニクより直接的に単離する方法、ニンニク加工食品より単離する方法、さらに前駆体であるアリルシステインの化学的酸化によって生成させる方法である。目下のところ、一ニンニク由来食品中のアリインからアリシンを生成する反応条件を種々改良している。
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Planta medica 75
ページ: 222-225
Journal of Antibiotics 62
ページ: 81-87
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/mchem/teacher.html