当初計画と初年度の実施概要、および成果 (1)嫌気性菌で発見された酸素代謝系酵素の機能解明 筆者は、代表的な絶対嫌気性菌で、環境浄化やバイオマスエネルギー生産の主力菌であるクロストリジウム属細菌の酸素感受性機構の解明を目的として研究を行い、優れた酸素応答機構・活性酸素分解系の存在を報告しました。初年度は、クロストリジウム属細菌で酸素誘導性タンパク質として新規に発見されたタンパク質群の機能解明を目的として、NRORオペロンにコードされる遺伝子がコードするタンパク質Flavoprotein、 Dsrの精製と、それら酵素を用いた複合酵素反応解析を行った結果、酸素と活性酸素を瞬時に消去する優秀な酵素系であることが判明し、Applied Environmental Microbiology誌に投稿、受理されました。 (2)嫌気性菌ビフィズス菌の酸素代謝機構の解明 ビフィズス菌は、ヒト腸内で有用な微生物作用を発現するプロバイオティクスとして活躍しますが、酸素下で生育が阻害される弱点があります。初年度は、ビフィズス菌が酸素下では過酸水素を自ら生産することが生育阻害原因であることの証明を目的として、過酸化水素を生産する酵素の精製と酵素反応解析を行いました。その結果、過酸化水素を生産する原因酵素の精製に成功し、Applied Environmental Microbiology誌に投稿、受理されました。
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