本研究の目的は、資源管理型漁業に不可欠な初期餌料動物プランクトン“L型ワムシ"の生産効率化を図るため、VB_<12>含有濃縮淡水クロレラを用いてL型ワムシ高密度培養法を開発し、さらにVB_<12>産生細菌を利用して濃縮淡水クロレラの低コスト代替餌料の開発を行うものである。本年度は、L型ワムシ高密度培養法の研究開発を行った。とくにワムシ増殖阻害要因と高密度化を可能にする培養方法の装置的要件について定量的評価を行った。 まず、至適塩分濃度(1%〜1.5%)および至適温度(24℃)を決定した。さらに、溶存酸素の不足がL型ワムシにとって致命的であることを考え、L型ワムシの増殖可能な“臨海溶存酸素濃度"を検討し、S型ワムシとほぼ同じレベルにあることを確認した。また培養系の酸素消費量を把握する必要があることから、L型ワムシの呼吸速度を測定した。1個体あたりの呼吸速度は、餌であるクロレラの存在下では増加し、給餌によって摂食活動や消化が活性化されることを示唆した。また、アンモニウム塩の添加によって呼吸速度は急激に低下した。排泄物であるアンモニアは中和された塩の形であっても毒性が強く、作用は迅速であり、代謝活動を著しく抑制することが明らかになった。また、餌料である濃縮淡水クロレラもまた無視できない量の溶存酸素を消費することが明らかになった。 これらの研究情報をもとに、低温での定温管理、非解離アンモニアによる阻害を軽減するためのpH自動制御装置、酸欠を起こさない高酸素供給能の培養装置を作製した。
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