• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

超好熱菌の恒常性維持に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20580090
研究機関関西学院大学

研究代表者

藤原 伸介  関西学院大学, 理工学部, 教授 (90263219)

キーワードアーキア / 超好熱菌 / リボソーム / Thermococcus / 膜脂質 / ポリアミン / シャペロニン / 生育依存性
研究概要

90℃以上で生育する超好熱菌は、分子系統学的に原始生命に最も近い現存生物である。本研究ではThermococcus kodakaraensisをモデル生物として、菌が活発に増殖する対数増殖期と増殖が衰え休眠状態に至る定常期にどのような変化がみられるかに注目し、形態と膜脂質の変動、遺伝子の発現動態、細胞のもつ翻訳活性について集中的に研究を行った。細胞の形態変化を観察したところ、定常期に入ると鞭毛が減少し、細胞も小型化していることが確認された。膜脂質成分を調べたところ、定常期になるにつれて炭化水素鎖の長いカルドアーケオール型脂質の割合が高まった。遺伝子の発現動態を調べたところ、増殖時期に特異的に発現する転写因子の存在が示された。特に定常期に特異的に発現する転写因子については、恒常性維持と密接な関係があると予測している。次に細胞の持つ翻訳活性を検討するために、それぞれの時期から無細胞抽出液(S30画分)を分取し、翻訳活性を検討した。翻訳活性は対数増殖期のものにのみ認められた。さらにそれを細胞質画分(S100)とリボソームに分け、組み合わせて活性を検証したところ、対数増殖期のリボソームを含む場合にのみ活性が認められた。リボソームの活性が細胞のもつ生理活性に関与していると考察された。また時期特異的に発現しているものの中に、分子シャペロニンも見出された。シャペロニンもタンパク質レベルで恒常性維持を支えていると考えられる。いくつかの超好熱菌において多価ポリアミンが高温での生育に重要であることが報告されているが、本菌においても生育温度に依存した多価ポリアミンの合成が確認された。特にポリアミン合成の起点となるアルギニン脱炭酸酵素は生育に必須であることが遺伝子の破壊実験により示された。しかし、細胞の増殖段階における発現量変動はみられなかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Effect of growth temperature and growth phase on lipid composition of archaeal membrane from Thermococcus kodakaraensis2009

    • 著者名/発表者名
      Matsuno, Y
    • 雑誌名

      Biosci. Biotechnol. Biochem. 73

      ページ: 104-108

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression profiles and physiological roles of two types of prefoldins from the hypertherrmophilic archaeon Thermococcus kodakaraensis2008

    • 著者名/発表者名
      Danno, A.
    • 雑誌名

      J. Mol. Biol. 382

      ページ: 298-311

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression profiles and physiological roles of two types of molecular chaperonins from the hypertherrmophilic archaeon, Thermococcus kodakaraensis.2008

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara, S.
    • 雑誌名

      Appl. Environ. Microbiol. 74

      ページ: 7306-7312

    • 査読あり
  • [学会発表] 超好熱菌遺伝子の性段階に依存した発現動態解析2008

    • 著者名/発表者名
      瀬尾博之
    • 学会等名
      日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2008-12-09

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi