老化・寿命の調節タンパク質として知られる転写因子FOXOに着目し、酸化ストレス刺激下で脂肪細胞の過分化・肥大化にFOXOがどのように関わるのか明らかにすることを目的とした。マウス3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化を誘導し、活性酸素(H2O2)またはポリフェノール類(レスベラトロール、カテキン等)の刺激に応じた脂肪細胞の過分化・肥大化の生理的、生化学的変化を解析した。 (1) ROS/ポリフェノールによる脂肪細胞の過分化・肥大化の解析 ・3T3-L1細胞にH2O2を刺激程度(濃度:10μM〜1mM、時間:3hrs〜12days)を変えて作用させたところ、H2O2の濃度と時間に依存して、脂肪蓄積量の増加が認められた。 ・3T3-L1細胞にポリフェノール類(レスベラトロール、EGCG)を作用させたところ、細胞内における脂肪蓄積量の減少が認められた。 (2) ROSによるFOXOサブタイプの発現・分解・修飾・局在の変化 ・FOXO各サブタイプの発現変化を、RT-PCR法およびWestern法を用いて解析したところ、H2O2刺激によりFoxO1とFoxO3aの発現に変化(減少)が認められた。 ・FOXOタンパク質のリン酸化と局在の変化をWestern法、免疫沈降法により解析したところ、H2O2刺激によりFoxO1とFoxO3aのリン酸化の増加と細胞質移行が認められた。 (3) ROSによるFOXOサブタイプの活性・機能変化 ・FOXOの転写因子活性の変化を、ルシフェラーゼプロモーター解析法により解析したところ、H2O2刺激によりFoxO1とFoxO3aの転写因子活性が低下した。
|