DMI伝を用いて、マワス3T3-L1前駆脂肪細胞の分化を誘導し、活性酸素(H202)またはポリフェノール類(ヒドロキシティラゾール、オレウロペイン、レスベラトロール、カテキン等)の刺激に応じた脂肪細胞の過分化・肥大化の生理的、生化学的変化を解析した。同時に、脂肪細胞の細胞周期の変化や転写因子FOXOの各サブタイプの活性の変化やシグナル経路を解析した。分化した脂肪細胞は、脂肪滴蓄積(Oil-red染色/トリグリセリド量)、グルコース輸送(Glut4活性)、脂肪酸取込み(FATP活性)、脂肪合成(GPDH活性)、アディポカイン産生、各種分化マーカーの発現などにより解析した。特に、本年度はポリフェノールによる影響を解析した。 (1)ポリフェノールによる脂肪細胞の過分化・肥大化を解析した。 ・脂肪細胞の過分化および肥大化がポリフェノール(ヒドロキシティラゾール、オレウロペイン、レスベラトロール、カテキン等)の濃度や作用時間に依存して顕著に抑制された。これらは、特に初期分化を抑制した。加えて、ヒドロキシティラゾールは成熟脂肪細胞の脂肪分解も促進した。 (2)ポリフェノールによる細胞周期に対する影響や、細胞増殖に対する効果を調べた。 ・ポリフェノール(ヒドロキシティラゾール、EGCG)は細胞周期の進行を遅らせ、細胞増殖を抑制した。 (3)ポリフェノールによるFOXOサブタイプやSREBP1cの転写因子活性の変化を調べた。 ・ポリフェノール(EGCG)の刺激により、FOXO1とSREBP-1cの転写因子活性が抑制された (4)ポリフェノールによるシグナル経路の変化を解析した。 ・ポリフェノール(EGCG)は、インシュリンシグナル経路を活性化し、MEK/ERK経路を不活化した。
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